採用関連の本を3冊ほど読んだので例のごとくまとめておく。
私は今まで言われるがままに1次面接に参加していた程度だったので結構なるほどと思うことが多かった。
もし同じようにこれまで深く採用に携わってない人でこれからガッツリ関わるような人が居たら参考にしてくれたら嬉しい。
人事の一貫性
採用の話に入る前にまず人事が担う機能を知っておく必要がある。
具体的には以下の6つになる
- 採用:必要な人材を外部から社内に取り入れる
- 育成:人材を業務で必要な特性を持つよう変化させる
- 配置:人材を社内の業務やポジションとマッチングする
- 評価:ミッションや目標、行動、成果の達成度で人材価値を評定する
- 報酬:評価に基づき、人材に配分する利益を決める
- 代謝:内部の人材を外部に退出してもらう
自分はエンジニアなので人事の役割とかいいから採用だけ知りたいという人もいるかも知れないが、実はこの6つに一貫性をもたせることがとても重要だ。
例えば、ポテンシャル重視で新卒採用に力を入れているが、教育にはコストを割かない方針だったらどうなるか?
自力で頑張れる一部のメンバーは生き残れるかもしれないが大半はすぐに辞めてしまうだろう。
また、そんな状況で配置を決定しようとすると当然現場ではスキルを持った人を入れてほしいとなるだろうが、ほとんどはスキルがないメンバーになってしまうためどこにも配置できない or 配置しても活躍できない状況になる可能性が高い。
このように各機能で方針がバラバラになるとせっかくコストやパワーを掛けて採用してもパフォーマンスが上がらない状況に陥るのだ。
では、この一貫性をどうやって持たせるのが良いか?
理想としては「事業」を軸にするのが良い。
事業戦略を最も上手く遂行できるように軸を置く。
他には会社のフェイズによってもパターンが有るが、
共通して大事なのは容易に変化しないものを軸に置くことが重要だ。
具体的に言うと社長の価値観や考え方だったり、企業風土のようなものが該当するだろう。
そのようなぶれない軸を徹底的に考えて認識することで一貫性を持った人事は実現できるようになる。
採用が重要な理由
ようやく採用の話。
ここまで一貫性は大事だと書いてきたが、それでも6つの機能の中で一番重要なのは採用である。
なぜなら、優秀な人を採用できないとその後のフェイズで挽回する必要があるから。
育成にコストを掛ける必要があったり、配置するポジションを工夫したり、評価や報酬でモチベートしてあげるなどかなりのパワーを使うことになる。
そしてそれも上手く行くとは限らない。
一方、優秀な人さえ採用できていれば能力を発揮できる環境だけ用意すれば勝手に成果を出してくれる。
特にリソースの限られるスタートアップなどではこの辺を意識することが重要になるだろう。
採用のフェイズと進め方
採用には大きく分けて3つのフェイズがある。
- 出会う:ターゲットに会社を知ってもらって応募してもらう
- 見立てる:ターゲットに選考を受けてもらって自社にフィットするかを見極める
- 結ばれる:ターゲットに入社してもらう
出会う
1つ目の出会うについては更に4つの手段に細分化される。
おそらく大半の場合は1か2が多くなるのではないだろうか。
メディア経由の場合大事なポイントは届けるべき人に届くか、惹きつけられるか、応募しやすいか、の3つとなる。
届けるべき人に届くか、についてはスキル重視の採用をしようとして新卒向けの求人メディアを活用しても効果は薄いというのはわかりやすい事例かと思う。
惹きつけられるか、というのは求人メディアの大量の求人の中で同業他社に埋もれずターゲット人材の目を引くだけの魅力や価値があるかということになる。
最後の応募しやすいか、については不安になりそうなポイントがないか、応募のハードルが高すぎないか、などがある。
様々な部署があるが自分の希望するところで働けるのかがわからない、などは応募者にとって不安なポイントになるかと思う。
もちろん面接で質問すれば分かる話ではあるが、もし他に同じような条件で自分の希望が通りそうな会社が別にあればその人はそちらに応募してしまうだろう。
見立てる
選考を進める中でなぜミスマッチが起こるのか?というポイントから考える。
ミスマッチが起きる原因は大きく3つ挙げられる。
- 見立てる項目に問題がある
- 見立てる方法に問題がある
- 見立てる人に問題がある
1つ目の項目については、どのような人材を採用したいかという要件の設計に問題がある。
ここで大事なのは曖昧な表現を避け、誰もが同じイメージを抱ける粒度の要件を立てることである。
例えば「地頭が良くて、コミュニケーション力がある」というような要件だと、一見シンプルで良さそうに見えるかもしれないが「地頭が良い」とはどういうことか、「コミュニケーション力がある」とはどういうことかが不明瞭である。
人によっては地頭が良い=難しい課題を解くことが出来る、かもしれないし、別の人にとっては速く的確に課題を解くことが出来る、かもしれない。
コミュニケーション力についても、誰とでもすぐ打ち解けられるのかもしれないし、自分の考えを適切に伝えることが出来ることかもしれない。
2つ目の方法に関しては選考の手段である。
例えば即戦力がほしいのであればSPIよりもコーディングテストを行うほうが良いといえばわかりやすいかもしれない。
手段ごとに一長一短あるはずなのでそれぞれを比較して自分たちが求める人材を見極めるにはどれを選択するのが一番良いかを考えるのが重要である。
3つ目の人に関しては採用担当者のスキルである。
採用担当者として正しく伝えられる、候補者から望む答えを導き出すなどのコミュニケーションスキルやバイアスに惑わず正確に見極めるスキルなどが求められる。
結ばれる
最後の結ばれるというのは内定〜入社までの辞退を回避するための方法を考える。
よくあるのは同時に受けていた別の会社を選ばれてしまうことだと思うが、
これを回避するためには事前に受けている企業の情報、候補者が自社に対して魅力に感じていること、逆に不安に感じていることなどをあらかじめ確認しておくのが重要である。
他社とは違う自社の魅力を伝えたり不安な部分をケアすることで候補者の熱意を維持することができるのである。
まとめ
採用と一言で言っても考えなければいけないことは山ほどあるし、
一朝一夕ですぐ上手くなることは難しいことが改めて理解できた。
今回あまりにもまとめる内容がありすぎて結構端折ってしまった部分もあるので、
もしこれだけでは知りたい情報が足りないということであれば、以下に紹介する書籍を読んでみてほしい。